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rail road journey・誓い

浦上天主堂へゆきまする。



お堂へ

辿りつくために、

わかっていたのは方向だけよ...充分よ。



浦上天主堂へゆきまする。



通りいっぺん、

雨洗われて すがしい 道行きに、

アンジェラスの鐘が鳴るよ...鳴りわたる。



「  ...鳴ったね。」


「  ...鳴ったな。」



聴けた。

旅の前夜に二人で

話していたものでした、



祈りの音色を聴けたらね...って。



それが、

此処だった。

忘れた頃に鐘が鳴ったの...これは、



きっとギフト。



なんら

映えない裏通りにて、

淡い 希み 叶い 一等かがやいた...道。



" 天主堂の見える丘 " に来て。



すぐ目の前に感じる、

遠くにありし双塔の教会を眺める。

視界に とらえられる位置までは 着いたわ。



「  ...あれが。」


「  ああ。十代振りだよ、...、...、」



いつもなら、

他愛ない冗談や

罪のない笑い話が多いうちの人...



言葉少な。



少年時代-。

伴侶は浦上天主堂を訪れ、

人の手により 造りだされた お堂の...



なぜに清浄で厳かなことか



その

神々しさに打たれ、

感銘を受けたのだという。



いつか  もう一度  来よう



そのときは、

妻となる人生の相方を

連れてくる...再来を誓っていた。



歩きやすい

観光コースからは、

たぶん外れちゃってる。



地元の人が

生活で使うような道を

当てずっぽうに歩いていった。



当たっていたよ大丈夫だ。

先んじて前を行く人もいるし、

矢印が導く方向へ このまま 進も。



...私たちは年の差夫婦。



よって、

慎ましい祝言を

挙げてはいるけれど...



かつての少年が真剣に誓ったことも



大事に果たしたい。

それに したって おかしなものね、

同じ人と ひきつづき 二度目の誓いですもの。



年の差も、

出逢うまでにかかった月日も、

なんて長く離れていたことでしょう。



少年時代はプロローグ。



時を越えて

完結させましょ、

つづきを予感させて終わる...



始まりの始まり風にエピローグ。



着いた...浦上天主堂。



この日、

わたしたちは

古くの誓いを果たした。



聖イエス聖マリアが御見守りの

目の前、いいえ、目の中で、

ひっそり二人っきり。



堅く結いなほす、

夫婦の絆は相身互いよ。

一生二人三脚 足まで結んだ 者同士...



新たに。


*-*-*-*-*

rail road journey・伴侶

式典へ

臨むことは、

胸の内...誰言うとなく自分と私で...



うなずきあった約束だった。



命のあるうちにと、

指きりげんまんしたのは

みずからの小指と小指よ...果たしたわ。



過去は学んで歴史に変わる. . .ね。



公園を後にして。



向かいましょう、

本丸の二へ...指きりげんまん

どころじゃないのよ。今度は伴侶、



そう 夫の想いを 果たすため。



それには

妻の私が要必要、

肝心要で入り用のワケありり。



という道中に、

かつては刑務所の壁

だったという低い塀を見たわ。



ピカドン炸裂にも耐えぬいたんだ...土台。



道沿いにつづく苔生した塀の質感を

しげしげ見入り見越しつ

していた視線の先に、



老夫婦とおぼしき方々が。



おばあさまは盲目なのでしょう、

サングラスをかけ白杖を

ついてらして。



その塀の表面を

確かめ 確かめ 丁寧に

触れている...そうか手で...観ている。



おじいさまは

ずっと腰元に手を当て、

寄り添いながら支えてらした。



.........。



印象深いシーンが

つづきあう長崎の旅路よ。

ここは祈念公園にほど近い、



刑務所遺壁のある道の端。



これじゃ

rail road でなくて、

アスファルトドーロでしょうとも...



ま、良いのです。



あの日みた

老夫婦の睦まじさが、

記憶に明るく残るから。



*-*-*-*-*

rail road journey・祈念

この日 この時 この場所には、

人種も宗教も立場も越えて

さまざまな人がいた。



遺族。

一般参列者。

国内外のTVクルー。



クリスチャンは十字を切り、

僧侶や仏教徒は合掌し、

無宗派は黙祷を。



それぞれに

祈りの型は違っても、

献げる弔いと願いは...通じあう。



祈念像につづく

式典広場を進んでゆく。

一歩. . .一歩. . .また一歩と、



歩み ゆるやかな この速度は...



まさに今、

誰かが祈ってる想いの尺分。

じっくり列は動いて...その面前に臨む。



平和祈念像. . .御前。



戦歿者たちの冥福を祈る表情。

平らを保つ左手腕は長久の平和を。

空へ伸びやかな右手指は原爆を指し示す。



広島と長崎、

その次などないのだと。

三度と同じ過ちがあってはならない...



ダイナミックな祈りの姿。



観たものの巨きさに、

心は 何かを 受け取った...けれど、

言い表わすには時が満ちたりなくて。



それでも、

この旅の途にあり

体感したことがひとつ...



平和を

希求する心だけは

何人たりとも隔たりない



順番が

めぐって前に出たとき、

僧侶さんにならい手を合わせたわ。



合掌



それが、

私たちにもできた精一杯。

顔を上げて祈念像をみつめた数秒は...



魂に刻んだ永遠の刹那。



*-*-*-*-*