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回向の記しに。(中)

※  寺院内の撮影はNGですので、

多くは祖師堂の外郭を文中に挟みました。

実際に回向供養をした場所とは別です。


*-*-*-*-*



仏殿へ向かう

長いながい廊下を歩いていた。

これから冥土を行くあなたの道に、



せめて...しるべを送りましょう。



唯一、

わたし自身で

今できることを...餞けに。



式次第が始まる前...

お塔婆ごくごく間近まで迫り、

記された その人の名を みつめた。



((  .........。))



名は体を

表すといいますものね。

淡くも鮮やかに思いだされる、



生きし日々の姿その表情...ありありと。



それでも、

まだ信じられなくて。

さっき用紙に記入した時だって...



虫の知らせはあった。



鬼籍に入る数日前から続いた現象。

よく言われる最期の挨拶、

だったのかと...



受けとめている。



あの人は、

もうこの世にいません。

電話を掛けたら出そうでも...



((  ...いつもみたいにさ。))



いいえ。

この地球から、

この日本の片隅から、



人一人...有縁の...命ともし火は消えました。



まもなくして

聞こえてきた御経...

僧侶たちが唱えながら列を成し練り歩いて、



仏殿へ入ってきた...追善回向が始まる。



私にとっては、

この供養が今生の別れ。

ありがとう...ごめんなさい...さようなら...



天井を仰いだ



異なる感情が

いっぺんに押し寄せて

整理不能...ただ今は考えまい。



冥福を祈るのみ



思い起こせることのすべては前夜、

涙にまぜて水に流したし、

お去らばよ。



もう有耶無耶



それでよいよ。

いつの間にやら私は

ちゃんと着席していたわけで...



高らかく呼ばわる故人名に耳を傾けていた。



その人の名が、

僧侶の口より くっきりはっきり、

発せられた瞬間は...生涯、忘れない。



私は あなたの娘 でした



おんぶに 抱っこに 肩車。

体調を崩すと こまめに 世話して

くれたのも...父さん...あなただったね。



親子の縁だもの、

なにもかもが愛情だったなんて...

きれいに まとまる話しばかりと いかぬけど。



((  ...本当には、大好きだったょ。))



すべてを

ひっくるめても残ったものは、

追憶に浮かぶ笑顔ばかりが...置きみやげ。



((  ...まっすぐ昇ってください。))



身延の御山は深くてね、

メモリアルな千年猛暑といわれた

平成最後の真夏ですら...涼しかったな。



*-*-*-*-*

回向の記しに。(前)


・・・とある2018年、夢月星日ノ夏。



身延山久遠寺へ。

ここは自分たちにとって、

かねてよりのホームグラウンド...



お里のようなもの。



たえまなく

つづく毎毎日に句読点を打ち、

一段落させるための節目付けとして...



度々と登る慰安の地なのです。が、



此度は、

お塔婆立ての用ありて. . .

二年ぶりの御山参詣なのでした。



巨木の杉が並ぶ向こうには、

菩提の梯...全287段。

登るペースを誤れば、



膝が笑うか足が棒になっちゃう階段よ



しかして今回は梯を登らない。

乗合いバスで一足飛びに、

本山到着。



俗を離れたようでも現世の内さ。

お塔婆を申し込むにしたって、

受付け時間てゆーね...



リアリティ。



この世が刻み

御寺が取り決めた、

時と事務的ルールに間に合えっ。



諸々の受付けは報恩閣にて。

お塔婆申し込み用紙に必要事項を

さらりさら記入し坊様に手渡せば...早々と完了。



(( .........。))



回向供養まで

だいぶん時が余ったよ、

お池のぷくぷく鯉でも愛でてませう 。。。



やあ、来たょ。...ぁぁ、やっぱり。

このお池のほとりが、

いちばん癒えるな。



真 っ 金 金 に

かがやく 落ち葉と いっしょ。

まっさきに寄ってきたのはこのコで. . .



お口から 水晶ぽこんこ 吐きだした。



水から生まれた 水晶が 水へ還ると。

呼び水になりんしたかね、

あれよあれよと...



他の鯉たちも

吸いつくように つどってきて、

モーレツ円陣 くるくるサークル 渦巻いて、



・・・群勢になる。



水な面には

金箔みたいにキララしい藻が、

ふょふょふょふょ 浮かんでる...それを...



ぱくぱく ついばみながら ねだるのです。



√ ¨ ¨ ¨ ごはんー!!! ( 総意 )

f ^-^;) 充分に肥えてるよ君ら。



そろそろ時間。



ピラニアかってくらい、

バチバチと跳ねて元氣よすぎる

鯉ちゃんたちに癒されましたところで...



回向へ参る。



*-*-*-*-*

rail road journey・旧オルト邸


たいそう立派な門構え。

お家の外観 お偉い風な 存在感ったら、

ドッシリ ガッシリ ガタイが良いような...



重鎮、重鎮チックです。



そのはずでしょうねこの洋館、

木骨の他は煉瓦と石造りで堅固。

国の指定重要文化財なんだそうよ。



館のアタマになる屋根なんて、

桟瓦で葺かれて和なのに...

ならぶ柱は宮殿のよう。



赤ジュータン敷き。。。

豪勢な お部屋だけれど 内装は、

ベージュ系で落ちついてる品もある。



" 洋館 " と聞けば、

思い描くイメージに

ほぼぴったりなのだわ. . .旧オルト邸。



天窓のステンドガラスが. . .きれい。

差しこむ明かり うっすら 色づく。

裏手へ抜けましょう。



今でいうオーブン?

煙突が付いて...焼き釜?

台には煮炊きする焜炉のようなものも。



白タイルの流し台。

シミ汚れがついたままなのに、

そこはかとなく漂うのです清潔感が。



...、...、...、



この水回りで

食べ物の下拵えをしたり、

お洗濯物とか手洗いしたり...したかな。



貯蔵庫。

崖を切りくずして

つくられてる. . .天然冷蔵ね. . .冷えひえっ。



この当時、



日本は幕末から明治にかかる時代。

本州では良くて氷室でしょうに、

オルトの住居ではこの設備...



進んでる。



ぐるり一周、

生活を感じられた裏倉庫から

立派な表門側のポーチへ出戻る。



・・・洋風の縁側的。



・・・南国風リゾート地に来たようでも。



屋根と建物と庭園と。

和洋とりまぜられながら、

しっくり合う館がダントツ多いの長崎の...



多 国 籍 県 ぽ さ



これも、魅力。

洋館越しに歴史の一端へ触れあいながら、

お茶商人ウィリアム・J・オルト氏の邸宅を後にした。


*-*-*-*-*