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高 崎 逹 磨 譚 8

"  ただ登れ 登るべし 登るべし  "



総門をくぐり、

段 一 段 と 登 る...最中は、

頭のなか まっ白っけ 考えがつかない。



無心のやうな白痴



だからかもな。

お寺さんの階段を

上へ上へ...あがるの好きなの。



"  ただ登れ 登るべし 登るべし  "



し...、

しかし雑念わく。

しかしさ こんなに 寒いんだしさ...



白い吐息の

水タバコかエクトプラズム

出せるでしょ、はあああっ...。



((  ...あれ?案外と、))



口から水蒸気は

煙らなかった。

そのかわり、



まるごと

冷凍庫のような

空気をやわらげに、



お日さんが お顔を 光らかせたよ。



登りきった先には鐘楼のあり。

なかば気分は物見遊山に。

二つめの目印として...



段々 ちゃきちゃき 着々 すすむ



無心の無言になったころ。

遠くとおくの遥かまで

響きわたる...



√ ごぉおおおぉんんんーんーんーん



鐘の音が鳴った。

重いのに垂れこめず

厚みぶかい...音ね...梵鐘。



この時間帯に

撞いてるなんて珍し。

不意打ちに まんまと 不意も突かれたわ。



総門より

第一階段...あがり。

来て 見て 知ったこと、



楼に上がれるんだ此処。



なお且つ、

鐘を撞いても良いようで、

許された時間内は出入り自由。



...そそくさ靴ぬぎスリッパ履く。



行事があるでもない普通の日に、

梵鐘を撞けるだなんて...

またとない機会。



撞 か せ て い た だ き ま す と も



浄財箱の

真ん前におわすは、

むろん達磨大師さんなのであり。



... ... ...。



みつめあう数秒。

カッと見開かれた眼にこもる力、

偶像といへど迫りくるのよ...貫かれる。



看 破 し て い た



...どうぞ。

わたし面目を果たしたわ、

合わせられる眼を具えて参りました。



逹 磨 さ ん 共 々



綱を握りしめる。

ずしり...触れた重い手応えに、

自分の瞼も いくぶん 持ちあがって...



...ク ワ ッ。



力んだ勢いで両の眼かっぴらいた。

手にした綱へウェイトをかけて

引きあげれば撞木は揺れて...



√ ごおおおおおおおんーんんんーんー



招福の鐘、

盛んに撞き鳴らし候。

達磨大師さん400日間を...



ありがとう御座いました。



残響まで

鼓膜ふるわすよな、

微か...低く...厚む...音の尾が消えいる間、



佇んでいた。



黙し、

耳を澄まして。

心に聴いていたのは...



寂の響き



そのもの、

だったのでしょう。

鳴らす一瞬は像の大師と...



おなじ表情を浮かべてた



気が...

しないでもない

けど...ね。第二階段でゴールです、



参りましょう。