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回向の記しに。(中)

※  寺院内の撮影はNGですので、

多くは祖師堂の外郭を文中に挟みました。

実際に回向供養をした場所とは別です。


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仏殿へ向かう

長いながい廊下を歩いていた。

これから冥土を行くあなたの道に、



せめて...しるべを送りましょう。



唯一、

わたし自身で

今できることを...餞けに。



式次第が始まる前...

お塔婆ごくごく間近まで迫り、

記された その人の名を みつめた。



((  .........。))



名は体を

表すといいますものね。

淡くも鮮やかに思いだされる、



生きし日々の姿その表情...ありありと。



それでも、

まだ信じられなくて。

さっき用紙に記入した時だって...



虫の知らせはあった。



鬼籍に入る数日前から続いた現象。

よく言われる最期の挨拶、

だったのかと...



受けとめている。



あの人は、

もうこの世にいません。

電話を掛けたら出そうでも...



((  ...いつもみたいにさ。))



いいえ。

この地球から、

この日本の片隅から、



人一人...有縁の...命ともし火は消えました。



まもなくして

聞こえてきた御経...

僧侶たちが唱えながら列を成し練り歩いて、



仏殿へ入ってきた...追善回向が始まる。



私にとっては、

この供養が今生の別れ。

ありがとう...ごめんなさい...さようなら...



天井を仰いだ



異なる感情が

いっぺんに押し寄せて

整理不能...ただ今は考えまい。



冥福を祈るのみ



思い起こせることのすべては前夜、

涙にまぜて水に流したし、

お去らばよ。



もう有耶無耶



それでよいよ。

いつの間にやら私は

ちゃんと着席していたわけで...



高らかく呼ばわる故人名に耳を傾けていた。



その人の名が、

僧侶の口より くっきりはっきり、

発せられた瞬間は...生涯、忘れない。



私は あなたの娘 でした



おんぶに 抱っこに 肩車。

体調を崩すと こまめに 世話して

くれたのも...父さん...あなただったね。



親子の縁だもの、

なにもかもが愛情だったなんて...

きれいに まとまる話しばかりと いかぬけど。



((  ...本当には、大好きだったょ。))



すべてを

ひっくるめても残ったものは、

追憶に浮かぶ笑顔ばかりが...置きみやげ。



((  ...まっすぐ昇ってください。))



身延の御山は深くてね、

メモリアルな千年猛暑といわれた

平成最後の真夏ですら...涼しかったな。



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